電解水透析研究会

日本の透析療法は世界で最も高い評価を受けています。その実績と高度な医療技術だからこそ見えてきた現在の治療の限界。
透析を必要とする患者さんの身体的・精神的負担の軽減、そして社会復帰へ。
透析治療には次の一歩、新たな治療法の確立が求められています。

現在、日本では30万人以上の方が血液透析を受けています。また、日本の透析患者の約95％以上が血液透析を選択していることから、日本における標準的透析治療方法は「血液透析」療法と言えます。

そもそも血液透析療法とは、水を大量に使う治療法です。そこで、全く新しいアプローチとして、私たちは「水」に着目しました。

そもそも一般の「水」と「電解水」では、透析治療に与える影響がどのようなものであるのか、疑問に思われることでしょう。

まず電解水透析とは、透析専用に精製された「水素を含有した透析用水/電解水」を用いて行う透析療法のことを言います。

では、透析用に精製された電解水にどのような作用が期待され医療に発展したのか。

電解水透析に用いられる電解水は、水の電気分解により陰極側に生じた水素を含有した水であり、一般の水とは異なります。
抗酸化性のある水素が含まれた電解水を、透析液の希釈液に用いることで透析治療における様々な不調が緩和されることが期待され、患者のQOL（生活の質）向上を目指しています。

透析治療において、患者さんには身体的・精神的負担が多くあります。
透析治療を受けている患者さんにとって、より良い環境、より充実した医療を実践・提供するため、私たちの研究は始まりました。

基礎研究にはじまり臨床応用まで行ってきた実績の中で、電解水透析の安全性の確認はもちろん、透析患者さんが受ける負担（血中酸化ストレスや炎症の低減、血圧の安定化、降圧薬の低減、透析疲労感の低減等）の症状緩和を実際に観察し論文も発表しています。

2011年から2016年までの共同研究中に５年間の前向き観察調査の結果として、透析患者の死亡および心脳血管合併症の発生リスクを41％低減することをScientific Reports誌に発表しました。
また、在宅での治療法である腹膜透析は、平均5年で血液透析（通院治療）に移行するとされており、その期間延伸の課題解決に向けた基礎研究では良好な結果が得られています。

以上のことから、透析患者さんにとっての「選択肢の一つ」として、電解水透析研究会は透析治療の次の一歩へ、私たちはさらに高いレベルでの研究・開発を推進しています。

世界トップクラスとされる日本の透析治療ですが、それでも透析患者さんの平均余命は一般人の約半分と短いのも事実です。
透析患者さんの死亡原因では、心脳血管死（心不全、脳血管障害、心筋梗塞）が33.1％と最多です。その原因として、治療中に発生する酸化ストレスや炎症が関与し、動脈硬化を促進していると考えられています。
そもそも血液透析は先の説明の通り、水を大量に使用（1回あたり約120リットルの水を使用）する治療法です。
だからこそ「水」に着目し、私たちは透析治療の新たな可能性に日々邁進しています。